プチ自己紹介&自民党改憲草案への理性的具体的な私見〜憲法とは?&前文編〜

みなさん、はじめまして。ブログを始めました、歴史と科学に興味がある理系大学生です。

始めるにあたり何を最初のトピックにしようかと迷いましたが、ここは日本人として、憲法について考えるのが一番いいと思いました。ここ最近コロナ禍において緊急事態宣言が発令されました。これと似たような名前の言葉が自民党が提案する憲法改正草案(自民党改憲草案)に書いてあります。緊急事態条項です。この二つの違いについて日本人一人一人が考えてみる必要があるのではと思いました。私も最初から全てわかっていたわけではありません。でも義務教育で習ったことなどを思い出しながら見ていくと、誰でも理解できたり、自由に意見を持ったりできるのではないかと考えました。

また、数年前米国に留学した際、人権や自由、権利に対する意識が学生から大人に至るまで、日本とはまるで違うということを感じました。その後自民党改憲案を少し読み、この自由や人権についてかなり変わることがあるのではないかという疑問が生じました。今回はそれを自分の目でしっかり読解して確認したいと思い、自民党憲法案を全て読み、自分なりに気がかりなところなどをピックアップしていこうと思います。

 

 

これは中田敦彦YouTube大学でも語られていますが、憲法とは、権力者為政者を縛るルールのこと。

日本弁護士会も行っていますが、これが定義です。

日本弁護士連合会:憲法って、何だろう?

なぜ彼らを縛るの?これは西洋の歴史と繋がりがあります。800年近く前のイギリスでは王様が勝手に戦争したり税金を高くしたりして、市民や貴族が困窮してしまったことがありました。それに怒った貴族たちが王様に「勝手に課税するな!ちゃんとこっちと話し合え!!」と主張したのが「マグナカルタ」というルールです。正確にいうとこのマグナカルタ憲法ではないのですが、権力者を縛るルールを作るというのはここが始まりです。ちなみに法律は権力者が国民を縛るルールです。憲法とは逆に矢印ですね!

 

ではどっちの方が強いの?答えは憲法です。全ての法律は憲法に従わなければならない。というのが立憲主義の考え方です。そして日本はその政治形態をとっています。こうすることで、権力者(政治家など)が国民一人一人の人権侵害や個人の自由の侵害を防いでいます。日本は現行の日本国憲法にて立憲主義を標榜して、国民の権利や人権を守ってきました。

 

そんな日本国憲法ですが、大事な要素が3つあります。1、基本的人権の尊重;国家によって人権が侵害されない。2、国民主権:政治の権力の源は国民です!ということ。3、平和主義:戦争はしない、という部分です。

では自民党改憲案ではどのようにこれらの3要素は変わる、もしくは変わらないのか?そういった疑問も出てきますよね!

 

ということでそろそろ憲法改憲草案を読んでいこうと思います。まずは現行の日本国憲法、そして改憲案という順に語っていこうと思います。できれば一文一文ずつ解説文を入れていこうと思っています。

 

まずは前文。前文とは、その憲法が作られた理由や趣旨、基本原則を簡単に説明したものです。

 

日本国憲法前文

 

「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」

解説

民主主義、自由、平和主義を追求するためにこの憲法はできた、ということ。

 

「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」

解説

国民主権の確認。その結果天皇が国民に命令する「詔勅」という命令はなくなりますという宣言。

 

「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」

解説:平和主義の説明。安倍さんは、ここの「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して〜」の部分が他力本願すぎると主張している。他の国だって歴史上戦争してきた。ここ70年で戦争していないのは日本だけだと。

 

「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」

解説:政治道徳の法則は普遍、つまりこの立憲主義はヨーロッパでも日本でも普遍であるべきだということではないか?つまり日本が西洋化近代化していることを明文化している。

 

では自民党はどのように前文、新しい憲法の趣旨について説明しているのか?

自民党改憲草案

 

「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇をいただく国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される」

意見:国民統合の象徴である天皇という現行の憲法の第一章に書いてあるフレーズを引用していることから天皇の地位は現行と変わらない。ただし天皇を戴くというところが日本を日本らしくしていて、これを続けるべきだという意図がある。ただし政治は国民主権三権分立で統治することも明文化している。

 

「我が国は、先の対戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。」

意見:平和主義に関して、先程の安倍さん曰く「他力本願」の部分が削除されている。それだけでなく、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という平和主義の国家としての理想像を掲げている部分まで消してしまっている。大義名分だとしてもこの理想像を自民党は捨てたということではないか?個人的に、この理想を捨ててしまっては、積極的平和主義の目的が示されなくなると思う。何のために集団的自衛権やら自衛隊の海外派兵を許すのか?それは平和主義のためだという理想がなければいけない。それを憲法に書いておくことが日本の平和主義を保つことだと思うが。。。

 

「日本国民は、国と郷土を誇りと危害を持って自ら守り、基本的人権を尊重するとともに、和を尊び、家族や社会全体が互いを助け合って国家を形成する。」

意見:ここの部分は基本的人権の尊重だけでなく、国家についての文が書かれてある。しかしここで言う国家観は何をベースに語られているのかいまいちわからない。ここの部分の政治哲学的なベースが何なのかがいまいち分かりにくい。家族、社会、国家の関係がどのようなものなのか具体的な説明が欲しい。また、和を尊びと言う文言はとても曖昧な気がする。確かに日本という国の定義について「和」という言葉自体が日本を示しているといってもいいと思う。しかし、和という漢字には様々な意味がある。調和の和なのだが、その調和がどのように成し遂げられるのかが不透明。場合によっては権力から強いられた和にもなりかねない。この和の部分、それから基本的人権の尊重の部分、この二つがうまく組み合うような解釈、そして明文化が必要だと考える。例えば「国民個人の自由意志の重なり、それが調和を成している」など。安倍さんや今の自民党はこの「和」を強調しようとしているように思われる。元号も令和。美しく調和するの意味だったが、この令の字は、命令の令にも使われている。個人的にはこれが少し危うく感じられるのだが、それを払拭するためにもしっかりと自由のもとの調和ということを憲法の前文では示していただきたい。

 

「我々は、自由と規律を重んじ、美しい国土と自然環境を守りつつ、教育や科学技術を進行し、活力ある経済活動を通じて国を成長させる。」

意見:規律を重んじの部分は、どんな意図があるのか。現行のには出てこないから。環境と国土を守るは、別の全く違うことを繋げていて少し不明瞭な気がした。国土を守るは、国防、環境を守るは環境保全。科学技術や教育、経済活動については、憲法に書くまでもない気がするのだが。。。

 

「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため、ここに、この憲法を制定する。」

揚げ足取りにはなりたくないが、日本国民=我々ならばいいのだが、ここ二つの主語が曖昧な気がする。また、良き伝統とは何ぞや?自民党が思う日本文化の良い悪いの基準が不明瞭。子孫に継承するのは、現行の方では「自由がもたらす恵沢」を子孫ために確保するのようなことが最初に書かれてあったが。。。

 

この前文を見るだけでも自民党改憲案がとても日本国憲法とは違うテイストのものになっていることに驚いた。個人的な感想ではあるが、現行のは、人権、自由、国民主権の部分に関して、とても明確な定義が書かれていると思う。しかし改憲案の方は、とりあえず国民主権、人権の尊重と書かれているだけであって、その経緯が書かれていない。ここの部分に関しては、やはり現行のままの方が立憲主義の国としての日本の定義をより深めていると思う。

そして和についての部分は先ほども書いた通り、もう少し深めるべきだと思った。移民などを受け入れるときも日本がどういう国なのかということを説明しなければならないとき、必ずこの和の概念が出てくる気がする。日本は自由と民主主義を守る国ではあるが、同時に文化的に和を重んじるというところはどこかで出てくる気がする。しかし、この和の文化が政治的に自由と民主主義を妨害するということになってはいけないと思う。その辺りをどう説明するのか、更なる議論と研究が必要だろう。

 

自民党はこの改憲案について基本的人権の尊重、国民主権、平和主義を維持しているというが、文言として入れているだけで、その趣旨の説明をほぼバッサリと切り捨てている。これは問題だと思う。反面、国家や国土といった言葉は目立つが、それに対しても具体的な説明がない。なんだかとても空虚だと感じた。これぐらいなら、いくら押しつけだとしても、立憲主義について深く書かれている現行の方が今の時代にあっているし、今後米中対立の中で日本がどちらにつくべきなのかというところを鑑みても、立憲主義を明確にしている憲法の方がこの時代にあっていると思う。それをベースに少し直すぐらいがいいと思う。

 

今日のところはこのぐらいでいいでしょうか?ではではまた明日!

色々質問やご意見ありましたらメッセージくださいね!

 

追伸

それにしてもあっさり緊急事態宣言と無観客が決まったね

玉の緒の 消ゆ応援の 五輪かな